弱酸・弱塩基の遊離がなぜ起きるのか
今回は、化学の問題No.3でも記述するということを言った、弱酸・弱塩基の遊離が起こる理由を説明していきます。
弱酸・弱塩基の遊離とは?
そもそも弱酸・弱塩基の遊離とはどういうものなのかと言いますと、
弱酸の遊離の場合は、弱い酸性物質を塩基性物質で中和させてできた塩に、その弱い酸性物質よりも強い酸性物質が混ざると、塩から弱い酸性物質が遊離して、残った塩基性物質は強い酸性物質と中和して、塩になる。弱塩基の遊離の場合も弱い塩基性物質を酸性物質で中和させてできた塩に、その弱い塩基性物質よりも強い塩基性物質が混ざると、塩から弱い塩基性物質が遊離して、残った酸性物質は強い塩基性物質と中和して、塩になります。
例は下の図-1です。
化学の問題No.3では、一言でいうならば不倫とかいって、昼ドラのドロドロ要素を持ってきてしまったので、他の表現としてはトーナメントとか総当たり戦とか、要は強いやつが勝つみたいな感じです(弱肉強食)。酸性物質で、酸として強いやつほど、塩基を勝ち取れる。塩基性物質で、塩基として強い奴ほど、酸を勝ち取れる。そんな感じだと思ってください。俗に言うカースト制度
なぜ弱酸・弱塩基の遊離が起きるのか
本題に入りますね。なぜ弱酸・弱塩基の遊離が起きるのか。
実は、電離度が関係してくるんです。なので電離度から話していきます。
電離度と弱酸性や弱塩基性について
本来、酸性であればH^+を、塩基性であればOH^-を水溶液中で放出するわけですよね。しかし、弱酸性や弱塩基性の場合、H^+やOH^-を放出したり、分子に戻ったりするのが同じ速さで起きていて、平衡状態になっています。例えば酢酸の場合、
CH3COOH⇄CH3COO^-+H^+
となっていて、見かけ上変化はしていませんが、常に上の反応式のように行き来してます。つまり、弱酸性や弱塩基性の物質は100溶けたら100分離するっていうわけではなく、常に平衡状態を保っているんです(ちなみに図ー2はCOOHの電離度を0.2とした時の図です。)。
ではなぜそういうことが起きると、弱酸性や弱塩基性の物質は、くっついた状態の方が安定します。しかも、物質というのはなるべく安定した状態を取ろうとします(例えば、希ガスは価電子が0なので、安定するから原子でいるが、他の物質は不安定なので、分子ではないといられない。)。なので、弱酸性や弱塩基性の物質は、ある程度の量はH^+やOH^-を放つけど、それ以上は放とうとしない。(弱酸性や弱塩基性はさびしがりなのかも)だから、弱酸性や弱塩基性の物質は100溶けたら100分離するっていうわけではなく、常に平衡状態を保っているんです。
電離度と平衡状態について分かったところで、今度は塩と平衡について、説明します。
塩と平衡について
では塩と平衡について説明しますが、もし、弱酸性の物質に塩基性の物質、もしくは、弱塩基性の物質に酸性の物質を入れてら平衡や塩はどうなるのでしょうか...?
正解は、以下のような式になります。(今回も酢酸を例として、塩基は水酸化ナトリウム、つまり、Na^+も例とします。)
CH3COONa⇄CH3COO^-+Na^+
となり、つまり、塩が出来た後でも平衡状態が続いてて、多少電離度が変わっていますが、基本的に弱酸性や弱塩基性の物質から出来た塩は全て電離せず、平衡状態を保ちます。そして、このことは電離度の説明にて出てきた式と塩と平衡の説明で出た式を照らし合わせたら、なぜに近づくことが出来ます。なので、起きる理由を説明していきます。
起きる理由
さて、ここでも酢酸を例として、塩基は水酸化ナトリウム、つまり、Na^+も例とします。そして、二つの式を持ってきますね。
CH3COOH⇄CH3COO^-+H^+
CH3COONa⇄CH3COO^-+Na^+
ではここに例として、完全に電離できる塩酸を入れるとしましょう。因みに塩酸の式としては、
HCl→H^++Cl^-
となり、完全に電離していることがわかると思います。ではここで質問です。いまここで、塩酸を加えました。そしたら、H^+が水中で増えました。さて、酢酸の量はどうなるでしょう?
...
...
...
習ったことがあればわかる話(ルシャトリエの原理)ですが、酢酸の量は増えます!その理由としては、さっき持ってきた二つの式の上の式を見てほしいんですけど、もしここで、H^+が増えると、平衡が崩れてしまいますよね。なので、この平衡を崩さないようにするために、CH3COO^-+H^+の反応を速くして、H^+を減らし、酢酸を増やそうとします。しかし、塩になりましたよね。でも、塩と言っても平衡状態、つまり、多少電離しているCH3COO^-を使います。そうすると、下の式もCH3COO^-が減ってしまって、平衡が崩れてしまいますので、CH3COONaが電離するのを速くして、CH3COO^-を増やします。(この時、Na^+が余ってしまうため、これらは塩酸から出たCl^-と塩を形成します。)そして、酢酸CH3COOHが遊離できます。(字が汚くて、読みずらいと思うけど一応まとめてみました図ー3)
...見づらいね...でもまとめるとこんな感じ。因みに弱酸・弱塩基同士でもなぜ起きるのかと言うと、弱い方の弱酸・弱塩基の方が、強い方の弱酸・弱塩基よりも、電離してないときの方が安定する(つまり電離しにくい)から、弱い方の弱酸・弱塩基方が遊離して、強い方の弱酸・弱塩基が塩を形成するからである。
なので、弱酸・弱塩基の遊離が起きます!
まとめ
弱酸・弱塩基の遊離が起きるのは電離度が小さければ小さいほど、電離する前が安定するため、自分よりも電離度が大きいものが同じところにくると、遊離するから。となります。
一番わかりやすいと思う言い方としては、弱酸や弱塩基の物質は分子に戻ろうとするからって言った方がわかりやすいかな。(これだと、本題の結論としては物足りないのでまとめのまとめとして書かせていただきました。)
それでは!