自作問題の解答と解説(たまに科学に関するブログ)

基本的に自作問題の解答と解説を投稿し、たまに、科学に関するようなブログを投稿します。

MENU

化学基礎 問題No.2の解答&解説

※ここは私がツイッターにて出した問題の回答を公開している場所です。まだ問題解いてないよ~っていう人は私のツイッターをご覧ください
私のアカウント→https://twitter.com/bot75098033

 

 今回の問題は酸化還元についての問題を出しましたが、今回はあえて係数を省略しました。理由としましては、酸化還元のイオン式の係数の付け方の理屈を理解してほしいからです。もちろんそこまで高いレベルを目指していないのなら、教科書等を見て、係数を確認してもいいですが、高めのレベルを目指しているのであれば、その理屈を理解しておいても損はないです。

  今回も解説の前に問題と解答を公開します。

解答

[#化学基礎] #問題 No.2 希硫酸による酸性下での過マンガン酸カリウム水溶液30mLに、0.010mol/Lの過酸化水素水を50mL要した。さて、この時の過マンガン酸カリウムのモル濃度はいくつか。ただし、過マンガン酸カリウム過酸化水素水は以下のようなイオン式になるが、係数がなく、未完全である。 

f:id:science_mondaibot5325:20210514165558p:plain

https://twitter.com/bot75098033/status/1392751468575330304

 という問題でしたね。そして、解答は

0.0067mol/L (6.7×10^-3mol/L)

となります。(ちなみに、カッコ内が最適解です。)

解説

 では解説をしますね。まず、有効数字についてですが、No.1でも説明しましたが、有効数字は測定値の内、一番小さい桁数を有効数字としますので、今回の場合は2桁となります。なので、二桁で答えなければいけません。

  さて、本題に入りますが、今回の問題は係数が未記入なので不完全なイオン式です。なので、係数を記入して、イオン式を完成する必要があります。ここでは主に一つの方法を用いて求めます。その方法はこちらです。

  1. まず一番複雑な化合物の係数を1とする。(今回の場合、MnO4^-とH2O2を1とします)
  2. 次に→を中心として、係数を1とした化合物と反対側にある化合物を比べて、それぞれに含まれる原子の数が合うような係数にする。
  3. 残りの化合物をその二つの化合物の原子数と辻褄が合うような係数にする。
  4. イオン式の場合、両辺のイオンに気を付け、電子を付け加え、辻褄があう係数にする。
  5. 一つでも分数がある場合、それらの母数の最小公倍数を全体にかけて、分数をなくす。

というやり方です。これだけではわかりにくいと思うので、過酸化水素過マンガン酸カリウムイオン式をそれぞれ順番に完成させます(図ー1と図ー2)。スマートフォンで閲覧している方は、クリックした後に、拡大することによって見れると思います。

f:id:science_mondaibot5325:20210513121948p:plain

図ー1

f:id:science_mondaibot5325:20210513122013p:plain

図ー2

となります。

 ただ、それぞれのイオン式を完成させただけでは答えを導くことを出来ません。そのため、二つのイオン式を一つのイオン式にする必要があります。

 二つのイオン式にするにはある一つの要素を取り除かなければいけません。その要素というのは電子ですね。ではなぜ電子なのかと言いますと、酸化還元反応式では化学式となり、イオンや電子が登場してはいけないというルールがある上に、酸化還元反応が完全に行われている状態では、イオンや電子が出てこないからです。しかも電子が消せるのはそれぞれのイオン式を合わせる時だけです。

 なので、電子が消えるようにイオン式を合わせていきます。

 まず、それぞれのイオン式(半反応式)の電子の係数の最小公倍数を求めます。(今回の場合は過マンガン酸イオンが5つ、過酸化水素が2つで、その最小公倍数は10となります。)

 そしたら、電子の係数が10となるような数を半反応式の全体に欠けます。(今回の場合は、過マンガン酸カリウムの半反応式に×2を、過酸化水素の半反応式に×5をする。)

 そして、その二つの式を足します。(すなわち連立方程式ですね!)

このように求めることが出来ます。実際にはこんな感じです(図ー3)

f:id:science_mondaibot5325:20210514164545p:plain

図ー3

 さて、ここまで解けたらわかる部分があると思います。それは、過マンガン酸カリウム過酸化水素における、モル比についてです。反応式を見てわかる通り、

過マンガン酸カリウム過酸化水素=2:5

となりますね。つまり、過酸化水素1molに対して、2/5molの過マンガン酸カリウムが反応するということになります。また、酸塩基でモル濃度の求めかた(中和滴定)を学んだと思います。たしか、Ca,Cbをモル濃度、Va,Vbを体積(mL)、A,Bを価数としたとき、

A×Ca×Va/1000=B×Cb×Vb/1000

という式がありましたよね。これを応用してしまえばいいのです。

 今回の場合、価数を係数に置き換えると、辻褄が合いません(例えば、酸塩基の反応式で、H2SO4+2NaOH→Na2SO4+2H2Oのそれぞれの価数は2と1であるのに対して、係数は1と2であり、もし、価数を係数に置き換えて、上記のような式で計算すると、答えが合いません。)。ですが、係数を無視しても、今までの経験上わかると思いますが、辻褄が合いません。なので、両方ともAとBは1として考え、過酸化水素1molに対して、2/5molの過マンガン酸カリウムが反応するということになることから、aを過酸化水素、bを過マンガン酸カリウムとしたとき、過酸化水素のCa×Va/1000という式に2/5をかけると、過マンガン酸カリウムのCb×Vb/1000という式と同じ値になることがわかるため、

2/5×Ca×Va/1000=Cb×Vb/1000

で、求めることが出来ます。よって、

2/5×0.010×50/1000=Cb×30/1000

2×0.010×10=Cb×30

0.2/30=Cb

Cb=0.0066...

Cb≒0.0067  (6.7×10^-3)

となります。よって答えは、0.0067mol/L (6.7×10^-3mol/L)

 

因みに解き方としてはもう一つありまして、電子の方に着目して、図ー1と図ー2より、過酸化水素の電子量が2であるのに対して、過マンガン酸カリウムの電子量が5である。そして、

A×Ca×Va/1000=B×Cb×Vb/1000

の式から、価数の部分を電子量に置き換えて、

2×0.010×50/1000=5×Cb×30/1000

Cb≒0.0067  (6.7×10^-3)

と求めることが出来ます。こっちの方が早いと思いますので、こちらもお勧めします。

 

わかりましたでしょうか。もしこれでもわからない場合はDMにて聞いてください(リプライや問い合わせでもいいですが、直接返答出来るわけではありません。更新してお伝えします。)。それでは!

 

コラム

 今から話すこととしては、生物を習っている人ならわかる話で、しかも私自身の考えですが、皆さんは化学基礎を勉強したうえでどの分野が一番身近にあるものだと思いますか?実はですね、酸化還元なんです。モルとかじゃないのかって言われると、それも一理あると思います。でも私はそっちの方が身近に感じると思います。実は酸化還元は金属はもちろん、私たち生体内でも起きている事なんです。例えば、私たちには細胞っていうのが存在しますよね。その細胞っていうのは呼吸を行います。その呼吸の最中に酸化還元を行っているんです。また、細胞よりも小さなホルモンや酵素等が、酸化還元を行っているんです(全ての酵素やホルモンが酸化還元を行っているわけではありません。また、酵素に関しては酵素自体は変化しない為、正確には還元のみ、もしくは酸化のみです。)。なので、酸化還元は意外と身近にあるんです。