化学 問題No.1の回答&解説
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最初の問題は理論化学で、一番印象に残った問題を作りました!理論化学って計算問題が多く、尚且つ、考える力をよく使うため、苦手な人が多いと思いますが、何度も解いてるうちに今回の問題よりも難しい問題でも解けるようになると思います。
まず解説する前に問題と回答を公開します。
回答
全体の温度が27℃で、3.0Lの容器Aに0.16gの酸素と、5.0Lの容器Bに0.20gのメタン(CH4)が入っている。これらの気体は理想気体として、コックを閉める前のそれぞれの気体の圧力(Pa)と、コックを開けた後の全体の圧力を答えよ。O=16C=12H=1
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このような問題でしたね。(今気づきましたが、0.2gはダメでした。0.20gです。)ではそれぞれの回答がこちらです。
・コックが閉まっている時のそれぞれの圧力
Aの圧力:4.2×10^3Pa
Bの圧力:6.2×10^3Pa
・コックを開いている時の全体の圧力
5.5×10^3Pa となる
解説
さて、解説に移りますが、その前に気を付けてほしいことがあります。まず、有効数字についてです。
有効数字は問題文に記入されている実測値(質量数は除く)の一番小さい桁数となります。なので今回の場合2桁となります。よって、2桁で答えないといけませんね。そこを気を付けてほしいです!
因みに、0.2ではなぜだめなのかと言いますと、有効数字を数える時には小数点前の数字が0で、それ以外の数字が小数点以外にない場合、すなわち、0.・・・である場合、0以外の数字が小数点以下に出てくるまでカウントせず、整数が出たらそこからカウントが始まるんです。なので極端な話、1も0.1も0.00000000001も一桁となり、 1.0も0.10も0.000000000010も二桁となります。
では有効数字の確認が終わったところで、本題に入りたいと思います。
まず一つ目の問題、コックが閉まっている時のそれぞれの圧力について解説していきます。
これは、温度とそれぞれのgと体積、そして、物質とその物質に含まれる原子の質量数がわかっているため、圧力計算の基本となる気体の状態方程式を使います。気体の状態方程式は以下のような式でしたよね。気体の状態方程式は...
PV=nRT (P=圧力 V=体積 n=モル R=気体定数(8.3×10^3Pa・L/K・mol) T=絶対温度)
→PV=w/MRT (w=気体の質量 M=モル質量 因みにw/M=nである。)
→P=wRT/MV
ですよね。
この式を用いて、それぞれの気体の圧力も求めることが出来ます。(Aの圧力と体積をそれぞれPAとVAとし、Bの圧力と体積をそれぞれPBとVBとする。)
A:酸素のモル質量は32g/mol(16×2)であることから
PA=wRT/MVA
=0.16×8.3×10^3×(273+27)/32×3.0
=4.15×10^3
有効数字に気を付けて...
PA≒4.2×10^3Pa
B:メタン(CH4)のモル質量は16g/mol(12+1×4)であることから
PB=wRT/MVB
=0.20×8.3×10^3×(273+27)/16×5.0
PB=6.225×10^3
有効数字に気を付けて...
≒6.2×10^3Pa
となる。 よって、Aの圧力が4.2×10^3Pa、Bの圧力が6.2×10^3Paです。
さて、問題はここからですね。きっと気体の圧力計算が苦手な人はここで点数を落とす人が多いと思います。なので今回の問題で注意すべき点を先にまとめておきました。
- それぞれの気体の圧力を分圧にするべし!
一つだけですが、さっそく説明していきます。
ではまず、なぜそれぞれの気体の圧力のまま、すなわち、先ほど導いた値のまま計算してはいけないのか。それは、コックを開ける前と開けた後で体積が変化してしまうからです。
コックを開ける前での体積はそれぞれ分けられていて、Aでは3.0L、Bでは5.0Lと体積が異なっていました。しかし、コックを開けた後、つまり、AとB間で気体の行き来が自由になった後、体積はAとBの全体の体積となる。しかも、体積の変化は圧力に影響を及ぼす。なので...
コックを開ける前の気体の圧力と開けた後の気体の圧力では条件が変わってしまう!
条件が変わってしまうことは結果も違ってくることです。例えるなら、ふわっふわのパンを作るためにはベーキングパウダーが必要です。つまり、ベーキングパウダーを入れるという条件下で、ふわっふわのパンを作っているのです。でも、もし、ベーキングパウダーを入れてないと、条件が変わるだけではなく、ぺらっぺらのパンが出来てしまいます。
結果も違ってくるなら、そのまま計算してしまってはダメです。なので、気体の圧力で計算せず、そこから分圧にする必要があります。
じゃあどうすれば分圧になるか...そうです!条件を入れ込めばいいんです。そして、ボイルの法則(P1V1=P2V2 P=圧力 V=体積)を用いて、V1に全体の体積とV2にそれぞれの体積をいれて...
pV=PV' (p=ある成分の分圧 P=ある成分の圧力 V=全体の体積 V'=ある成分の体積)
p=PV'/V
で計算できます。(この時、有効数字の2桁よりも一つ多い3桁で、以下の桁を切り捨てた状態で、計算します)
Aの分圧(pA=Aの分圧)
pA=PAVA/V
=4.15×10^3×3/8
=1.556・・・×10^3
この後も計算するから有効数字の一つ前の桁まで残しておいて...
≒1.56×10^3Pa
Bの分圧(pB=Bの分圧)
pB=PBVB/V
=6.22×10^3×5/8
=3.887・・・×10^3
この後も計算するから有効数字の一つ前の桁まで残しておいて...
≒3.89×10^3Pa
となります。
あとは、ドルトンの分圧の法則を覚えていることが必須で、ドルトンの分圧の法則は、全体の圧力、すなわち、全圧は各成分の分圧の和に等しいという法則でしたね。つまり今回の場合...
P=pA+pB (P=全圧 pA=Aの分圧 pB=Bの分圧)
ですね。なので...
P=1.56×10^3+3.89×10^3
=5.45×10^3
有効数字に気を付けて...
P≒5.5×10^3Pa
よって、コックを開けた後の全体の圧力は5.5×10^3Paとなります。
わかりましたでしょうか。もしこれでもわからない場合はDMにて聞いてください。それでは!
コラム
今回のコラムでは実在気体ではどのような気体の状態方程式となるのかについて説明していきます。
まず実在気体と理想気体の違いとしては、主に二つ、分子自体の体積の有無と分子間力による相互作用の有無でしたよね。実はそれだけの違いなので、主となる式自体の違いはあまりありません。その式は
(P+an^2/V^2)(V-nb)=nRT (PVnRTは解説でも挙げた通りで、aとbはそれぞれ、1モルの二乗に対する分子間力の相互作用と1molに対する分子の体積です)
です。どうしてもPVの部分が複雑になっていますが、実際に、紙に書いてもらえばわかる通り、さほど変わりません。でも逆に考えれば、これだけしか変わらないのに、二酸化炭素など、理想気体と大きく異なるような分子には分子間力の相互作用や分子の体積による影響が大きく出ていると考えられますね。